資格・キャリア2026-09-08監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

介護資格の取り方 — 無資格から介護福祉士までのルートを九州目線で解説

この記事の要点

「資格なんて、結局何から取ればいいんですか?」——先日、飲食業から介護への転職を考えている40代の方から、面談でこう聞かれました。

結論から言うと、介護の資格取得ルートは「無資格→介護職員初任者研修→実務者研修→介護福祉士国家試験」という3段階に整理でき、一見遠回りに見える実務者研修こそが国家資格への最短ルートになっている、というのが僕の結論です。公益財団法人社会福祉振興・試験センターの公表値では、介護福祉士国家試験の合格率は近年60%台後半から80%台前半で推移しており、誰でも取れる楽な資格ではありませんが、順番さえ間違えなければ着実に届く距離だと僕は考えています。

0. 資格取得ルートの全体像 ― 3段階で捉えると迷わない

介護の資格は種類が多く見えますが、実際に押さえるべきは3段階だけです。第一段階が介護職員初任者研修、第二段階が実務者研修、第三段階が介護福祉士国家試験。この3つを「積み木」のように順番に積んでいく、というイメージを持っていただくと、求人票やスクールの案内を見たときの混乱がかなり減ると思います。逆に言うと、いきなり国家試験の勉強から始めようとする方が一番遠回りになりやすい、というのが僕の体感です。実際、面談の場で「独学でいきなり過去問を解こうとしたが専門用語が多すぎて挫折した」という声を何度か聞いたことがあり、順番を飛ばすことのリスクを実感しています。

1. 無資格でもできる仕事とできない仕事の境界線

「資格がないと介護職には就けないのでは」という不安をよく聞きますが、実際には無資格でも採用されている方が九州の現場には多くいます。境界線になるのは訪問介護かどうかで、訪問介護員として身体介護に入るには初任者研修以上の資格が原則必要です。一方で特別養護老人ホームや有料老人ホーム、デイサービスなどの施設系では、無資格からのスタートを受け入れている事業所が珍しくありません。求人票に「資格取得支援制度あり」「入社後研修受講可」と書かれている場合、働きながら初任者研修を取らせてくれるケースが多いので、まずはこの表記を探すことをおすすめしています。僕がこれまで見てきた中では、無資格入職から半年以内に初任者研修を修了させる方針の事業所が多く、入社してすぐに現場へ配属されながら並行して学ぶスタイルが九州では一般的だと感じています。

2. 介護職員初任者研修 ― 最初の一歩、期間・費用・内容

初任者研修はカリキュラムが130時間で構成されており、通信+スクーリングの組み合わせで通う方がほとんどです。費用は僕の体感値でスクールによって5万円から7万円程度が目安で、事業所の受講料補助を使えば実質負担がゼロに近くなるケースもあります。学ぶ内容は移乗介助や食事介助といった基本の身体介護技術、認知症の理解、介護保険制度の概要など、現場に出てすぐ使える範囲に絞られています。僕が担当した候補者の中には、初任者研修の実技演習で「利用者さんの立場でベッドから起こされる」体験をしたことが一番印象に残った、と語っていた方がいました。座学よりも身体で覚える研修だと思っておくとよいでしょう。受講期間は働きながらの場合、週1〜2回のペースで通っても2〜3か月程度で修了できる方が多く、仕事を辞めずに資格取得を目指せる点も社会人には心強い制度です。

3. 実務者研修 ― 初任者研修との違いと必須になる理由

実務者研修は450時間と初任者研修の3倍以上のボリュームがあり、たん吸引や経管栄養といった医療的ケアの基礎、より深い認知症ケア、サービス提供責任者に必要な知識まで含まれます。ここが重要なのですが、2016年度の試験から介護福祉士国家試験の受験資格が実務経験ルートに一元化されており、実務経験3年以上に加えて実務者研修の修了が必須条件になりました。つまり実務者研修は「取っても取らなくてもいい研修」ではなく、国家資格を目指すなら避けて通れない関門です。初任者研修を修了している方は一部科目が免除されるため、実質的な受講時間が短縮される点も知っておいて損はありません。以下に3段階の目安をまとめます。

段階時間数の目安費用目安次に進める資格
初任者研修130時間5〜7万円訪問介護の身体介護、施設での就業
実務者研修450時間10〜15万円サービス提供責任者、国家試験受験資格
介護福祉士国家試験受験資格:実務3年以上+実務者研修修了受験料1万円台国家資格保有者としての手当・キャリアアップ

4. 介護福祉士国家試験 ― 受験資格3ルートと合格率の実態

受験資格には実務経験ルートのほか、養成施設ルート、福祉系高校ルートの3種類がありますが、社会人からの転職では実務経験ルートを選ぶ方が大半です。合格率について、公益財団法人社会福祉振興・試験センターの公表値では近年60%台後半から80%台前半で推移しており、年による変動はあるものの決して狭き門一辺倒ではないというのが僕の理解です。ただし実務者研修を経ずに独学だけで挑む方は、基礎知識の土台がない分、体感として学習負担が重くなりやすい印象があります。実務者研修のカリキュラムをきちんと消化した方は、国家試験の過去問に触れたときの「知らない単語が少ない」状態でスタートできるため、僕は実務者研修を「試験勉強の助走」として捉えるようお伝えしています。試験は例年1月に実施され、合格発表は3月頃という年間スケジュールも押さえておくと、実務経験3年の到達時期から逆算した学習計画が立てやすくなります。

5. 九州で資格を取るときの支援制度

資格取得の最大のハードルはお金と時間だと感じている方が多いですが、九州の事業所には処遇改善加算を活用した受講料補助やシフト調整を行っているところが少なくありません。加えて厚生労働省の介護職員再就職準備金貸付事業では、一定の条件を満たす方に上限20万円の貸付が行われ、就業継続によって返還が免除される仕組みもあります。福岡県や熊本県など各自治体でも独自の資格取得支援メニューを設けている場合があるため、ハローワークや地域の福祉人材センターに相談すると、自分が使える制度を一度に確認できるはずです。制度は年度ごとに内容が変わることがあるので、最終的な適用条件は必ず自治体・事業所の最新案内で確認してください。僕の周りでも、受講料の一部を事業所が負担し、残りを分割で給与天引きするといった柔軟な運用をしている法人があり、まとまった現金がなくても研修を始められた、という声を聞いています。

6. よくある失敗と対処

資格取得でつまずきやすいのは、スクール選びと実務経験のカウント漏れの2点です。スクール選びでは、通学の曜日や時間帯が自分の勤務シフトと合わず、途中で通えなくなるケースを何度か見てきました。申し込み前に自分の勤務パターンとスクーリング日程を突き合わせておくことをおすすめします。もう一つが実務経験のカウントで、介護福祉士国家試験の受験資格に必要な実務3年は「従事日数540日以上」という条件も絡むため、パートやアルバイトで働いていた期間は思ったより日数が伸びにくいことがあります。転職のタイミングで在職証明書の発行に時間がかかることも多いので、資格取得を意識し始めた段階で、これまでの勤務先に在職期間の記録を早めに依頼しておくと安心です。もう一つ僕がよく相談を受けるのが、実務者研修を修了したものの受験資格の従事日数がわずかに足りず、受験を1回見送ることになったケースです。この場合、多くの方は焦って転職を繰り返すのではなく、今の職場で残りの日数を積み上げる選択をしており、結果的に職場との信頼関係も深まったという声を聞いています。数か月の違いで受験時期がずれるだけなので、慌てて動く前に、まず自分の従事日数を正確に数え直すことをおすすめします。

7. ケース比較 ― 立場別に見る資格取得ロードマップ

ここで、実際によくある3つの立場を比較してみます。まず「完全未経験・無資格から始める30代」の場合、施設系に無資格入職し、半年以内に初任者研修を修了、その後1〜2年の実務を積んでから実務者研修に進むのが標準的な流れです。国家試験の受験資格が整うまでにおおむね4〜5年を見ておくと現実的だと僕は考えています。次に「訪問介護からキャリアを始めたい20代」の場合、訪問系は初任者研修以上が前提になるため、就業前にスクールへ通う必要があり、初期費用と時間の負担は前者より重くなりますが、その分早い段階で実務者研修へ進めるという利点もあります。最後に「他業種で資格取得済みの40代・50代」、たとえば福祉系高校を卒業していない一般の社会人の場合、実務経験ルート一択になりますが、社会人経験で培った報告・連絡・相談の力が実務者研修の演習やレポート課題で評価されやすい、という声を複数の候補者から聞いています。年齢を理由に不利になる制度上の壁は基本的になく、むしろ社会人としての基礎力がそのまま評価につながる場面が多い、というのが僕の実感です。

(結論)

介護の資格は、初任者研修、実務者研修、介護福祉士国家試験という3段階の積み木として捉えると、迷いがぐっと減ります。合格率や受験資格は公的な数字として存在しますが、それを自分のペースでどう積み上げるかは一人ひとり違って構わないと僕は考えています。九州には受講料補助や貸付制度など、金銭面のハードルを下げてくれる仕組みも複数あります。皆さんいかがでしたでしょうか。ご自身の生活リズムに合わせて、まずは一段目の積み木から積んでいく。それだけで十分な一歩になるはずです。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 介護の資格は無資格でも働けますか?

はい、無資格でも訪問系以外の多くの現場、たとえば特養や有料老人ホームの身体介護補助業務は採用実績があり、働きながら介護職員初任者研修を取得するルートが九州では一般的です。求人票に「資格取得支援あり」と書かれている事業所は特に狙い目だと僕は考えています。

Q. 介護福祉士になるには何年かかりますか?

実務経験ルートの場合、実務3年以上と実務者研修450時間の修了が受験資格になるため、最短でも3年程度かかります。社会人が働きながら取得する場合、研修の受講調整もあるため4〜5年見ておくのが僕の体感値です。

Q. 資格取得の費用は自己負担ですか?

全額自己負担になるケースもありますが、処遇改善加算を取得している事業所では受講料補助やシフト調整を行っているところも多くあります。加えて厚生労働省の介護職員再就職準備金貸付事業では上限20万円の貸付制度もあり、条件を満たせば返還免除になる場合もあります。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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